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毎月5万4000円を市民に配り続けた結果何が起こったのか?という記録 [社会・経済]

毎月5万4000円を市民に配り続けた結果何が起こったのか?という記録


(ここから)


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「使用用途を制限せずに毎月5万4000円を生活に困窮する人々に与えたら何が起こるのか?」という実験が、アメリカ・カリフォルニア州のストックトンという街で行われています。「自由に使える現金を与えたら仕事をやめる人が生まれて経済が影響を受ける」という批判に対し、実験の結果、予想外のことが示されたとのことです。

This town is giving families $500 a month. The results are remarkable | Natalie Foster | Opinion | The Guardian
https://www.theguardian.com/commentisfree/2019/dec/10/town-gives-families-500-dollars-month-results

「毎月500ドル(約5万4000円)が市から家族に対して支給され、自由に使うことができる」というプロジェクトが、アメリカ・カリフォルニア州のストックトンという都市で実施されています。Stockton Economic Empowerment Demonstration(SEED)と呼ばれるこのプロジェクトは、生活に困窮する人々が必要なお金を手に入れたら一体何が起こるのかということを調べるための社会実験の1つで、アメリカ最年少の市長である29歳のMichael Tubbs氏がEconomic Security Projectの協力のもと実施しています。

seed | Stockton Economic Empowerment Demonstration
https://www.stocktondemonstration.org/

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このプロジェクトの特徴は、支給される現金を使用するのに制限がないということ。プロジェクトを率いたチームがパイロット実験を行ったところ、「貧困を経験した人々は何が必要で何が必要ではないかを理解している」という予測が導きだされたそうです。実際にプロジェクトをスタートしてみたところ、被験者が必要としたものは多岐多様に渡り、実験前から予測するのは不可能だったことがわかったとのこと。現金の支給によって食べものを購入する人もいれば引っ越す人もおり、心配が少なくなり、残業を減らすことができ、家族や友人と過ごす時間が増えたことが示されました。ある母親は、生活の心配をすることなく娘の誕生日プレゼントに靴を購入することができたといいます。母親は「靴を買えた」という行為以上に、自分がいい親だと感じられたと報告しています。

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by Linda Xu

「政府が現金を支給すると人々は働かなくなる」という意見はこれまでも見られるところでしたが、SEEDプロジェクトによって示された結果はこれとは真逆のものでした。例えば、被験者の一人であるトーマスという人物は金銭的な余裕ができたことで次のキャリアについて考える余裕ができ、子どもと過ごす時間を増やしながら、より支払いのいい仕事について調査し、準備し、申し込むことができたとのこと。現金支給を受けたことで「時間」が生まれ、初めて次のステップに進む余裕が生まれたわけです。

他の被験者についても同様のことが言え、この余分な5万4000円によって人々が得た最も価値のあるものは「時間」であることがわかりました。親となる時間、休む時間、コミュニティの一員になる時間などさまざまですが、ある人は副業として行っていたLyftのドライバー業をやめ、ある人は家族と過ごすために賃貸アパートの頭金を払うことができました。余分なお金があることで、引っ越しして通勤時間を削減したり、残業時間を減らしたりして、「時間」を買うことができます。シーラという女性は支給を受けたことでストレスが減り、「夜によく眠れるようになった」と語っています。

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by Kate Stone Matheson

SEEDの対象となった家族にとって、月5万4000円の支給は、月収の30%の増加に相当します。もちろん、SEEDによる現金の支給は、全ての問題を解決するわけではありません。質の高い仕事、労働組合の強化、医療、教育、住宅コスト削減など、問題解決にはより大規模な社会契約を再考する必要があります。しかし、Economic Security ProjecのNatalie Fosterさんは「大きな問題の解決策はスピーチから生まれるのではなく、何が可能なのかを示し、提唱し、再構築することから生まれます」としてこのプロジェクトの重要さを強調しました。

(ここまで)

なかなか興味深い検証実験だったと思います。

得られた余裕資金で人々が考えたことは「得られた分だけ労働を放棄する」ということ
ではなくて、むしろ逆で自分自身の自由な時間を増やすことで、家族との生活時間を
確保する、将来のための投資として自己研鑽をすることで次のステップへ上がる。
など主に自分自身について考える時間を増やしているということに着目すべきでしょう。

アシュタールやさくやさんが常々語っているように楽しく過ごすことで自分をさらに
快適なものへと導くという言葉に偽りがないことがわかります。

逆にお金がいかに私たちの自由を侵害しているかという証明でもあったと思います。



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ポチ

一部の人間が貪る事を止め皆に還元すれば世の中は有り余る豊かさで満ち溢れる。
by ポチ (2019-12-12 22:35) 

ada755

ポチ 様

本当ですね。政府発行紙幣で全国民に毎月30万円配り、企業は売り上げをすべて国に納めるようにすれば、お金はそのまま循環するだけなので、貧富の差はなくなるでしょうね。




by ada755 (2019-12-12 23:16) 

ねこ

これも、最低限所得保証の実験で得られたものですね。

5万4000円でこの効果。
こういう情報はネット上などでは、すぐ拡散されるけど
知ってる人と知ってない人での差が、まだあるかなと。

今の日本の官僚、政権、公務員にとっては嫌な情報でしょうね。
生活困窮者と引きこもり、介護、8050問題の相談窓口を
一本化するとかなんとかを自民・公明がほざき出したけど
選挙の票集めというのがミエミエで見苦しいですね。

この記事の29歳の市長のように現金支給するのが先ですよ。

大体各自治体など、ある程度の個人情報は知っているでしょう。
形式的な相談・対応と言った従来的な役所仕事する前に
生活困窮者にさっさと現金支給するのが先なんですが・・・。

なんだか日本の官僚と政治家、公務員の体質って現在、
ゴタゴタの続く日産と似てますね・・・日産は新社長になって
「ブレークスルー」がどうとか言ってるけど、横文字で
カッコつけていないで、さっさと新車を国内投入しないと
いけない状況なんですよね・・・。

このままだと日産は国内市場から撤退かな~と言った感じも
します。

それにしても、マイケル市長の実践と行動力は大した
ものですね。

本来、今後の日本の官僚、政治家、公務員、47都道府県の
公務員、行政や困窮者の支援には、マイケル市長のような
人材が多く必要かと。

けどそれは、自分の考えた世界でのことにしておきます・・・。
by ねこ (2019-12-13 02:28) 

ada755

ねこ 様

日産はフランスルノーの支配から逃れたかったようですが、どうも上手く行かなかったみたいですね。

いちどつかんだ獲物は決して手放さないのが欧米流です。
そのため、フランスやグローバル車の開発が優先となり、日本の市場は後回しにされがちだろうと思います。日本で売れる人気車がフランスや世界で爆発的に売れると限らないから新車の投入が遅れているのだと思います。

それよりも国民の所得が下がっているのに車の価格はモデルチェンジのたびに値上がりする状況では日産に限らず、これから販売が低迷することだろうと思います。特に消費税10%になってから、なんでこんなに様々な税金を払わなきゃいけないのだろうか?と購入時に改めて考えるので、売れ行きも人気車以外は売れなくなるでしょう。


by ada755 (2019-12-14 18:00) 

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