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セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い [社会・経済]

セコマ・丸谷社長 コンビニのビジネスモデルは終焉が近い


北海道のコンビニ「セコマ」だけは本社の利益率10%なのに業績は拡大し、人材難も
解消できている。それは本州のセブンイレブン、ローソン、ファミマと全く違うシス
テムを採用しているからです。

これからは、こうした日本的スタイルの業態が広がっていくことだろうと思います。
そこそこの利益で地域密着型の業態です。その根底になるのは地域のためという
コンセプトです。

対して、アメリカ発祥のコンビニは本部がフランチャイズを奴隷化するようなスタ
イルであるため、昨年から見られる問題点が浮上し始め、その存続が問われている
と言えます。

セコマの丸谷智保社長の語る一言一言が胸に響いてきます。商売にとって何が大事か
ということです。



(ここまで)

今や社会インフラとなったコンビニだが、
大きな転機を迎えている。
元日、24時間営業、食品の値引き販売の
是非などをめぐり、本部と加盟店オーナーとの対立が表面化、政府も「あり方検討委員会」
などを設置し、変革を迫っているからだ。

そんな中、異色の存在感を示しているのが
北海道中心のコンビニチェーン、
セイコーマートを展開してきた
株式会社セコマだ。

大手に比べて、加盟店が支払う
ロイヤルティーは低いし、契約で24時間営業を義務づけることもない。なぜ、それで儲かるのか。大手はなぜ、できないのか。
丸谷智保社長に聞いてみた。

  ◇   ◇   ◇

■本部と加盟店の関係見直しが急務

  ――昨年はコンビニのあり方が問われる一年でした。どうご覧になっていましたか?

大手コンビニのビジネスモデルの限界がついにきた。そんな印象を受けました。もうちょっと正確にいうと、米国発のフランチャイズ制を応用した日本的コンビニビジネスモデル。これが終焉に近づいたということだと思います。

  ――日本的モデルとは?

 フランチャイズ制度そのものは悪い制度ではありません。でも、日本のコンビニ業界はそれをねじ曲げてしまった。その綻びが出ているように思います。フランチャイズ制の基本理念は本部と加盟店の共存共栄です。そのベースにあるのは富の正当な配分と、加盟店に独立した裁量権を持たせることです。本来のフランチャイズ制度とは本部と加盟店は同心円状の関係なんですね。ところが、従属関係になっているように見える。ロイヤルティーの問題もあるし、加盟店にどれだけの裁量権があるのだろうか。24時間契約であれば営業時間の裁量権はないし、値引き販売を許さないのであれば価格決定権もないことになる。その地域に集中出店するドミナント戦略をやれば、道を隔てて同じチェーンの店が出てくる。加盟店にはテリトリー権もないわけです。

――売れ残りも加盟店の負担になる。24時間開けていても、儲からない店もある。人手不足で人件費もかかる。これじゃあ、加盟店が悲鳴を上げるのもわかりますね。

 これまで30、40年とやってきたけど、ついに綻びが露呈してしまった。それが去年なのですが、実は同じようなことは10、20年前から言われてきたんですよ。でも右肩上がりで成長し続けてきたから、問題にならなかった。採用は簡単にできたし、店長に応募する人もたくさんいた。

  ――今は違いますか?

 人件費のコストは上がっているし、エネルギーコストの値上げも激しい。これでは24時間やっていられない、ということになる。堤防の一穴が崩れて、洪水になった。でも、本質は24時間問題ではなくて、本部と加盟店の関係です。ここに最大の問題があると思いますよ。

――セコマは違うんですか?

 うちは当初から本部がいただくロイヤルティー率は10%、営業時間は最低16時間以上で、お客さまのニーズがあればオーナーの判断が基本ということにしています。値引き販売もオーナーの裁量に任せている。テリトリー権も原則認めています。

層的な利益構造がセコマの強み


  ――なぜ、それでも利益が出るのでしょうか?

 製造、小売り、物流というサプライチェーンを経営していることで、重層的な利益構造になっていること。もうひとつはマンパワーの強みです。個々の店長は地域に密着している人が多いので、地域に愛され、顧客をつかんでいます。

  ――食品を製造する12の子会社がアイスクリームや牛乳、総菜、サンドイッチなど多彩な商品を作っていますね。セイコーマート店内にはホットシェフがあり、店内の厨房で作られた大きなおにぎりや本格的なカツ丼も好評です。

 グループの豊富牛乳公社で牛乳もつくっていますが、セイコーマートで売っているのは年間1500万本。1900万本は自社チェーン以外の本州に売っています。羽幌町にあるダイマル乳品ではアイスクリームを年間2400万個製造していますが、3分の1は本州向けです。こうした外販にも力を入れているところです。

――物流のほうは?

 普通のコンビニは大体1日に9回くらい配送が来るんです。お菓子、パン、冷凍食品と別々にトラックが来る。うちはグループの物流センターで混載するので1日2回が基本です。それとは別にアイスクリームは週に3回。だから、1日にトラックが3回来る日が3日ある。それだけです。また、店舗が閉まっていたら、運送業者が店舗内に入って、荷物を置いていく。だから、荷物を受け取るために店を開けておく必要もないし、効率的です。

  ――そんなことができるのは自社で物流もやっているからですか?

 自社、あるいはほとんどうちの物流しかやっていない業者に任せています。信頼関係があるんですね。

  ――他のコンビニが悩んでいる人手不足はありませんか?

北海道も人手不足ですが、5年くらい前に採用の仕組みを見直し、応募、採用が2・6倍くらいに増えました。ウェブから申し込んでもらうと、翌日までにコールセンターから電話がいく。そこで、働きたい人と条件のマッチングをするんです。正社員ではなくパートで働きたい人には事情がある。子供の迎えとか、介護とか。土日は働けるけど、平日の火水はダメという人もいる。そうすると、最初に希望してきた店や業務ではなく、近くの別の店、仕事を紹介したりするのです。

  ――そうした工夫がグループ全体の利益につながるわけですね。しかし、人口が1000人もいない過疎地は儲からないでしょう?

 過疎地だからこそ、リアル店舗へのニーズが高いのです。900人の集落でも、うちが撤退すると、買い物に行く店がひとつもなくなってしまう。地域からも自治体からも「続けてください」「出してください」と頼まれるのです。そう言われることは小売店冥利に尽きますよ。

――でも赤字じゃダメでしょう?

 逆算するんです、いかに900人の集落で店舗が成り立つかを。物流コスト、人件費、光熱費を落とす。営業時間を13時間にするなどの工夫をして既成概念にとらわれずにランニングコストを下げます。もちろん地域とも相談します。自治体、住民、私たちの3者で話し合うんです。自治体からの助成金で、店の建設コストの一部を負担してもらったり、自治体が所有する土地を安く賃貸してもらい、地代負担を軽減したり。そういう工夫でコストを下げて、900人の集落でもトントンになるようにする。それに、売っているものの半分はPB商品であり大半はグループで作っているものですから、グループ全体で利益が出る。最終的にグループ全体がトントンであれば、地域を応援できるのではないか、いや、そうすべきではないか、と考えています。

右肩上がりで収益を上げる時代ではない

  ――地域にやさしい経営をしていますね。お父さまは社会党の参議院議員をされていましたが、その影響はありますか? 丸谷社長の経営は今はやりの利益至上主義、市場絶対の新自由主義的な発想とはちょっと違いますね。

 新自由主義とは違うと思います。ただ、父親は農業地域でいかに農民の幸せを実現するかに尽力した人で、町営でワイン事業を始めたんですね。公共資本で産業基盤をつくり、その富を分配することで地域全体を豊かにしようとした。社会主義というより農本主義ですね。世界を見渡せば、フランスにもそういうところがある。ドイツや北欧も自由主義経済だけど、社会主義のいいところを取り込み、地域全体の豊かさを求めている。こういうのが成熟国ではないですか。そのために大切なのは地域に根ざした企業の持続性です。地域が本当に必要とするものをやり続ける。その中でいかに効率化して、利益を出すか。利益を出せれば持続できる。持続のために補完的な事業も考える。本州での牛乳販売もそのひとつです。こうしたことを愚直にやっているだけです。私は右肩上がりで収益を上げる必要は、もうないのではないかと思います。そりゃ再生産投資をする利益は必要ですよ。店も工場も古くなりますから。しかし必要以上の利益を追求すべきではなく、少しずつ内部留保が充実していけばよい。それがサステナブルな、現代的な経営だと考えています。

――丸谷社長は北海道拓殖銀行出身ですね。拓銀は拡大主義で破綻した。こうした経験も影響していますか?

 銀行には20年間勤めました。それなりに地域に貢献してきたと思います。地元からも愛されてきた。でも、そういう会社でも倒れたら何にもならない。拓銀は都市銀行であるがために無理な展開をしましたね。必要もないところに手を伸ばした結果、存立基盤が崩れた。地域住民によって立つマーケットの地歩をしっかり固めておくことが大事だと思います。

  ――人口減少社会に直面している安倍政権の経済政策はどうですか?

 危険なのはバランスシートを大きくしていることですね。いつまで続けるのでしょうか。プライマリーバランスの均衡といっていたのに、それがないがしろになり、物価も上がらず、GDPも増えない中、バランスシートだけが膨らむのは危ういと思いますね。

――成熟社会は右肩上がりを目指せばいいというものではない?

 そうです。どうして2%成長しなければいけないのか。日本は世界から「日本を見習え」と思われるような成熟社会を目指すべきで、その在り方の模索に、ただちに取り組まなければいけないと思います。

▽丸谷智保(まるたに・ともやす)1954年9月24日生まれ。北海道池田町出身。慶大法卒。北海道拓殖銀行、シティバンクを経て2007年3月セイコーマート(現・セコマ)入社。09年3月から社長。内閣府経済財政諮問会議政策コメンテーター。

https://www.nikkan-gendai.com/articles/view/money/267668


(ここまで)

これを読んで感じるのは昭和の時代では当たり前であった、従業員の幸せと地域の
発展を共に果たしていくのが会社の存続理由だということです。


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