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半分切除された脳は、結合を強めて失った機能を補う [医学]

半分切除された脳は、結合を強めて失った機能を補う


こんなことが信じられるだろうか?
でも、本当だとすると脳の計り知れないポテンシャルと人の身体の奇跡とも
いえる素晴らしい機能を改めて思い知らされます。

通常、交通事故などで脳が少しでも損傷すると致命的なダメージを負うことが
一般的です。この事例では半分切除されても脳が残りの半分を補おうとする
ことがわかります。

一般的に右脳と左脳という風に区分されていますが、こうしてみると脳とは
いったい何なのかと改めて考えさせられます。


(ここから)

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この半分しかない脳でも普通に話したり歩いたりできる CALTECH BRAIN IMAGING CENTER


<子どもの頃に手術で脳の半分を切除した6人が、回復して普通に話したり歩いたりできる理由は>

子どもの頃に脳の半分を失った成人6人を調べたところ、彼らの脳の神経回路の結合強度は健康な一般人と変わらないどころか、一般人より「著しく」強い場合さえあることが分かった。

学術雑誌セル・リポーツに発表された論文によれば、脳は大掛かりな手術に順応し、脳が半分になる前と同じように体を動かし、機能させ、目的を達成できるよう自らを再編できる。


「脳はどうにかして、残された神経回路を使って、手術で失われた領域の機能を補っている」と、論文を読んだブラウン大学カーニー脳科学研究所のワエル・アサード准教授(神経科学)は言う。

「子どもの脳は一般に、大人よりも再編しやすい(神経可逆性がある)ことが分かっている。その再編のひとつの形が神経回路の結合の強化だったことは、興味深い」

<参考記事>ハワイで旅行者がヒトの脳に寄生する寄生虫にあいついで感染

「実際に会うと脳が半分だなんて信じられない」

研究に協力した6人は子どもの頃にてんかんを患い、重度の発作が起きないようにするため脳の半分を切除する手術(大脳半球切除手術)を受けた。つまり脳の半分しか残っていないのだが、それでも言語能力に問題はなく、心身ともに高い機能を維持している。健康情報サイトのWeb MDによれば、「(この手術を受けた)多くの人が、特に問題もなく術後6~8週間で仕事や学校、普段の生活に戻ることが可能」だという。

論文の筆頭著者で、カリフォルニア工科大学の博士課程を修了したドーリット・クリーマンは声明の中で、「初めて彼らに会った時は、脳が半分ないことを忘れそうになった」と述べた。

「コンピューターの前で、脳が半分しかないMRI画像を見ても、今さっき話をしたり歩いたりしていた人たちのものとは信じられなかった」

研究チームは6人の協力者のMRI画像を健康な6人の画像と比較。さらに一般人1500人の脳データとも比較した。

さらに視覚、運動、感情や認知などの機能をつかさどる脳の領域の活動を分析。ここから脳の神経回路の結合状態を、間接的に測定した。

事前の予想では、脳を半分失った人は神経回路の結合も通常の人よりも弱いとみられていた。だが結果はその逆で、多くの協力者では結合が通常の人よりも強いことが分かった。

「子どもの頃に脳のかなりの部分を切除しても、機能が回復するというのは素晴らしいことだ」とアサードは言う。だが、まだ幾つかの疑問は残っている。

脳の結合性の変化は、大きな外傷を受けた脳が再編成した結果ではなく、てんかんの特徴という可能性もある。

脳の半分だけで生きていける人がいるというのは、注目すべき素晴らしいことだ。しかしその一方で、「脳卒中やバイク事故などでの怪我、脳腫瘍のように、脳のごく小さな部分に受けた損傷が、壊滅的なダメージをもたらすこともある」とクリーマンは語った。

(ここまで)


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